2003年 バレエ公演一覧
01月04日   白鳥の湖          レニングラード国立バレエ
02月01日   海賊             レニングラード国立バレエ
02月15日   バレエの女神
03月29日   ラ・バヤデール       パリオペラ座バレエ
04月04日   SWAN LAKE        AMP
05月10日   眠れる森の美女      東京バレエ団
05月23日   白鳥の湖          新国立劇場バレエ団
06月11日   白鳥の湖          Kバレエ
07月17日   ジゼル            レニングラード国立バレエ
07月20日   ヌレエフ・フェスティバル
08月01日   世界バレエ・フェスティバル
10月10日   眠れる森の美女      牧阿佐美バレエ団
10月31日   マノン            新国立劇場バレエ団
11月24日   くるみ割り人形       ノボシバレエ
12月08日   白鳥の湖          キーロフバレエ
12月25日   くるみ割り人形       レニングラード国立バレエ 



JAN.04 2003    「白鳥の湖」    レニングラード国立バレエ    東京国際フォーラムA
                  オデット/オディール  : イリーナ・ペレン
                  ジークフリート      : ミハイル・シヴァコフ
                  ロットバルト       : ワシリー・グリシク
                  パ・ド・トロワ       : オクサーナ・クチュルク、アンナ・フォーキナ、ロマン・ミハリョフ
                  
ペレンの白鳥は3年ぶりの2度目。 3年前はルダ・チェンコがパートナーだったけれど、今回は最近ペアを
組んでいる、やはり80年生まれで同い年のミハイル・シヴァコフ。彼はすらっと背が高くかなりスリムなダンサーで
ペレンと並んだ感じはとても良く合っている。

パ・ド・トロワはクチュルク、ミハリョフ、フォーキナ。クチュルクもミハリョフもけっこう見ているので、できれば違う
ダンサーで見たかったかも。フォーキナは最近マールイに移籍したバレリーナ。ちょいと地味目で華がないかな・・・
クチュルクとミハリョフの踊りは爽快で良かった。
1幕2場でペレン@オデット登場。綺麗。腕の動かし方はまさしく白鳥という感じで美しい。 オデットはやはり手の
長いダンサーが踊ると雰囲気が出るなぁ。オディールでは、がらっと雰囲気が変わったけれど、あまり悪女っぽくは
ない。2日前の公演では黒鳥のGPDDの途中でシヴァコフとうまくタイミングが合わなくて、そこから踊りがおかしく
なったらしいけれど今日は問題ないみたい。グラン・フェッテもまずまずかな? コールドもいつも通り美しい。
それぞれの手足の動きが揃っていて、美しいというだけでなくダンサーの体型まで小から大へというきれいな
ラインに揃えてあって完璧。
マールイの白鳥は悲劇の結末だけれど、もうちょっと最後をわかりやすく余裕をもって見せて欲しい。できれば
王子とロットバルトとの戦いがもう少し迫力があるといいんだけど。この二人でペアを組んでどのくらい白鳥を
踊っているのかわからないけれど、お互いもう少し愛が欲しい。見た目はとっても合っているので頑張ってね。
シヴァコフも今一番成長著しいダンサーという事なので期待は大!  かっこいいしね!
例えばキーロフのヴィシニョーワやザハロワは、10代で入団した時に同じバレエ団にゼレンスキーやルジマトフの
ような世界的に認められたダンサーが先生代わりのパートナーとしても、彼女たちを育ててきたのだろうから、
そういう点ではマールイのバレリーナは環境的に劣っているんだなとふと思った。同年代の若いパートナーと
一緒に成長していくのはとても大変な事なのでしょう。

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FEB.01 2003    「海賊」    レニングラード国立バレエ    オーチャードホール
                  メドーラ     : イリーナ・ペレン
                  コンラッド    : マラト・シェミウノフ
                  アリ       : ファルフ・ルジマトフ
                  ギュリナーラ  : オクサーナ・クチュルク
                  セイド・パシャ : アレクセイ・マラーホフ
                  アフメッド    : ロマン・ミハリョフ 


もうマールイの冬の公演にはゲストプリンシパルとして、必ず出演してくれるルジマトフの18番である海賊。
メドーラ役は日替わりでトップ バッターのペレン。ギュりナーラ役はクチュルク。 う〜〜ん、またクチュルク・・
華やかペアという事なんだろうか?
海賊は初めて観る演目。劇的なストーリーがあるわけでもなくただただ楽しく観ていればいいらしい。確かに
ストーリーは荒唐無稽。 難破した見知らぬ海賊を助けていきなり恋仲になり、その後奴隷商人に連れ去られて
競にかけられるが、助けられ、でも、結局また捕まって売られるわ、売られた先でいきなり花園の祝宴とか・・・
最後はコンラッドとアリ達に助けられてハッピー・エンド。ウーム。
出だしの船が難破する場面は随分チャチくて、オイオイという感じだったけど、娘達が海辺に登場してからは、
彼女たちのカラフルなパステルの衣装に目が和む。席が23列目なのでオペラグラス無しにはダンサーの表情を
見ることは難しい。でもオペラグラスを覗いていると全体がわからないし・・ けっこうツボなところを見落としたん
じゃないだろうか・・・公演後にサイトで賑わっていたクリギンの濃い演技にもあまり気づかなかったし。良い席を
ゲットするのはホント!難しい!!
ペレンはまさしく看板プリマという輝きで、テクニック的にも演技面も良かった。特に3幕の花園のシーンでは
華やかさが抜きん出ていて、踊りも滑らかで素晴らしかった。主役がこれほど衣装を変えるのも珍しいのでは?
登場のシーンのドレス、奴隷として競りにかけられているときの衣装、コンラッドのアジトでのブルーのチュチュに
ロングドレス
。そして最後のピンクのロマンティック・チュチュ。着替えるダンサーは大変かもしれないけれど、
観ている方は、かなりお得な感じ。
ルジマトフは所作のすべてが美しい。特に、彼の腕の動きの美しさは他の男性ダンサーの誰も真似する事は
できないだろうと思うほど美しい。
コンラッド役のシェミウノフは、ともかくでかい!舞台上でとても見栄えがする。 ソロビヨフ氏の後継者という事
なのかしら?
あっという間に終わってしまったけれど、とても楽しい舞台で大満足。そのうちゲスト無しのマールイだけで公演
してもらいたいなぁ。そしたらアリはシヴァコフなのかな? ペレン&シヴァコフは今とてもお気に入りカップル!

    
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        FEB.15 2002    「バレエの女神」    オーチャードホール

        <第1部>
        眠りの森の美女よりローズ・アダージョ :エレーナ・エフセーエワ、シヴァコフ、モロゾフ、クリギン、リャブコフ
            
           ガラ公演というと舞台装置もコールドも無しのちょっと淋しい舞台になるのだけれど、 今回はマールイの
           冬の公演の続きでもあるのでこの眠りでは全幕の時と同じセットが組まれ、コールド付きでとても華やか
           だった。エフセーエワのオーロラ姫は・・・一国の王家の深窓のお姫様というにはなぁ・・・ちょっとふっくら
           していて庶民的過ぎる感じ。でも緊張しまくりのローズ・アダージョは頑張っていたし、はちきれんばかりの
           笑顔は彼女ならではの魅力だろう。これからの成長に期待!


        パ・ド・カトル    :イリーナ・ペレン、エルビラ・ハビブリナ、オクサーナ・シェスタコワ、オクサーナ・クチュルク

           ペレン・シェスタコワ・クチュルク・ハビブリナのパ・ド・カトルは初披露ではないかしら?この公演のために
           淡いピンク色のお揃いのドレスを新調したとの事。4人とも頑張ってましたね。シェスタコワの動きはとても
           柔らかで美しい。ペレンのボール・ド・ブラもとてもきれいで堂々とした主役ぶりだったけれど、もう少し芝居
           気があればよかったかも。今日のお化粧はいくらなんでも濃すぎてちょっと怖い・・メークさんにもうちょっと
           考えてもらいたい。(メークさん、いるよね?)


        ロミオとジュリエット:スヴェトラーナ・ザハロワ、アンドリアン・ファジェーエフ

           
ザハロワのジュリエット。たてロールの髪型にちょっとびっくり。姫君か? ファジェーエフはとてもハンサム。
           ザハロワと組むにはちょっと身長が低いかな?甘やかなバルコニーのシーンを堪能しました。是非、全幕
           で観てみたい。
         

        ドン・キホーテよりGPDD :エレーナ・フィリピエワ、デニス・マトヴィエンコ
                    
           フィリピエワのバランスとフェッテは素晴らしい出来。特にフェッテはダブルも入って手は腰にあてたままで
           軸は全然ぶれない。その上、凄い高速回転。彼女は本当にテクニックに秀でたバレリーナですね。
           ただ、なんとなくマトヴィエンコとのコンビネーションが良くないというか、感情の交流が見られないというか。
           どうしたのかな?(後で知った事ですが、この時すでにプライベートでのパートナーではなくなっていたそう
           です。ちょっとギクシャクしていた時期だったのでしょうか?)



        <第2部>
        ラ・シルフィードよりGPDD :ナタリア・レドフスカヤ、イリヤ・クズネツォフ
  
           レドフスカヤは昨年のキトリの印象が強いけれど、この演目ではシルフを軽やかにたおやかに演じて
           いました。色々な役柄をこなせるバレリーナなのですね。マールイのコール・ドも加わって幻想的で
           美しい舞台でした。

        シンデレラよりGPDD   :オーレリア・シェフェール、クリス・ローラント

        牧神の午後         :マイヤ・プリセツカヤ、シャルル・ジュド

           プリセツカヤの若々しさと貫禄に圧倒されましたが、この演目自体は好きじゃないのです・・・

        ライモンダよりGPDD   :ユリア・マハリナ、デニス・マトヴィエンコ

           
濃いネイビーのチュチュが鮮やかでマハリナの華やかな雰囲気に良くあっている。パートナーは急遽
           マトヴィエンコが勤めたのだけれど、一人だけ2演目目で少々お疲れモードだった。あまり、体調が良く
           なかったのかもしれないけれど、マハリナをリフトした時はちょっとハラハラ・・・。マトヴィは腕の筋トレを
           した方がいいのでは?

  
        チャイコフスキーPDD   :ディアナ・ヴィシニョーワ、イーゴリ・コルプ
 
           ヴィシニョーワが輝きまくっていた。チャイコフスキーのロマンティックなメロディーと戯れながら踊っている
           ようで素晴らしかったわ。

                  
        <第3部>
        ジゼル第2幕        :イヴリン・ハート、ファルフ・ルジマトフ


            ジゼルは4年前に観たボリショイがあまり良い印象ではなくて、それ以降観るのを避けていた演目だけれど
           あの時なんであんなにつまらなかったのかと不思議なくらい今日は二人のジゼルに魅せられた。コール・ドも
           嘘みたいに美しい。
           ハートは脚が高く上がるわけでもジャンプが高いわけでもないけれど、全身全霊がジゼルでした。しっかりと
           舞台上の空間を支配しているのも素晴らしい。ルジマトフのアルブレヒトは深い悲しみと後悔に沈む哲学の人。
           どうしてもこういう印象を持ってしまうのだけれど、最後まで救われないアルブレヒトでしたね。踊りは、
           柔らかく美しかったです。なんというか、すごい二人の組み合わせのジゼルを観たなぁとズッシリ来ました。 

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        MAR.29 2003    「ラ・バヤデール」    パリオペラ座バレエ団    NHKホール

                        ニキヤ     : クレールマリ・オスタ
                        ソロル     : マニュエル・ルグリ
                        ガムザッティ : レティシア・ピュジョル
                        ラジャ     : ジャン=マリー・ディディエール
                        奴隷      : カール・パケット
                        影の王国ヴァリ : ステファニー・ロンベール、メラニー・ユレル、エレオノーラ・アバニャート
 

           あまりに高額なチケットのため喉頭炎による発熱を押しての根性のバレエ鑑賞(?)。 渋谷駅からNHKホール
          
は遠かった・・・(原宿から行けば良かったよ・・) 世界最高峰と言われるパリ・オペラ座の公演を初めて見に行く。
          バレエ発祥の地はイタリアで、次に伝えられたのがフランス。 今までに数多く見ているロシアにはその後伝えら
          れたという事。今まで何も知らなかったオペラ座だけれど、独特のダンサーの階級名やダンサーの名前を
          付け焼刃で覚えてみた(笑)。
          個人的にかなり興味を持っていたのが、チラシで見たキンキラキンの王宮。だって、すんご〜く豪華じゃありま
          せん? 実物はというと・・・ 写真と違わず物凄くゴージャスな王宮だった。
          出演者に関してもいろいろケチがついて、オーレリ・デュポンの怪我による来日取り止めで彼女のパートナーの
          ルグリが来日しているにもかかわらず出演しないという事になっていたけれど、前日にニコラ・ル・リッシュが
          肉離れを起こしたために再度キャスト変更になり、オスタとルグリが主演となった。
          オスタは去年の暮れにエトワールになったばかりの小柄なバレリーナで地味な印象。失礼極まりないけれど
          背が低いためスタイルも悪い。あの衣装ってスタイル良くないと着こなせないと思うのです。ガムザッティ役の
          ピジョルもエトワールになって一年も経たないやはり小柄なバレリーナ。 長身のマールイのソリスト達を見慣れ
          ているせいか、小柄なオスタとピジョルのやり取りはまるで子供のけんかのように見える。オスタは本当に印象が
          薄かったけれど、ピジョルは2幕のルグリとのパ・ド・ドゥーではしっかりしたテクニックと、きれのある踊りを披露
          してくれて気の強そうな我が儘娘を好演していた。

           ルグリに関しては、それほど精細がなかったんじゃないのかなぁ・・ 普段、オスタと組むことってあるんだろうか?
          やっぱり、オーレリとのペアで観たかったなぁ。

          終幕はマールイのような王国の崩壊の部分がなく、ソロルがアヘンのせいで見る夢の中の王国の場面で終わる
          ので、何となくストーリーが中途半端でこの物語の悲劇性が最後に来て薄れてしまうような気がした。やはり王国の
          崩壊は必要な要素だと思う。それに、影の王国の部分は、マールイのコールドと比べると、オペラ座のコールドは
          かなりバラバラだったよう感じ。
          
          本日の私的お気に入りは奴隷を踊ったカール・パケット。ベッカム系の若いハンサムなプルミエ・ダンスールで
          今後に期待大。 とは言うもののオペラ座のダンサーを今後も頻繁に見る機会があるとも思えないけれど・・・
          舞台装置は素晴らしかったけれど衣装の色使いが好みではなかった。ドギツイ原色使いが多かったような? 
          やっぱり、S席2万5千円は高すぎるよねぇ・・・           

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        APR.04 2003    「SWAN LAKE」    AMP    オーチャードホール

                          ザ・スワン/ザ・ストレンジャー  : アダム・クーパー
                      王子                 : トム・ワード
                      女王                 : マーガリート・ポーター
                      執事                 : リチャード・クルト
                      ガールフレンド           : フィオナ=マリー・チヴァース


           今年の個人的目標は「白鳥の湖を観られるだけ観てみよう」。1月のペレンの白鳥に次ぐ白鳥だけれど、
          これはちょっと別物ですね! 昨年の暮れから宣伝されていて、アダムの白鳥を観たいとは思っていた
          ものの、キャストの発表が当日というシステムのため最後の最後まで躊躇していた。 結果的に大当たり
          となり大フィーバーを巻き起こし当日券も変えない状況になったので、運にまかせてチケットを取った。
          そして・・・なんと今日がアダムの最終日だったみたいで。 本国イギリスでも初演前はアンチ同性愛者等
          から酷評されていたのにもかかわらず、いざ幕を開けてみれば絶賛の嵐という快挙を成し遂げた。日本
          でも普段バレエなど見ないような人たちやリピーターまで押しかけて、会場は連日たいへんな盛り上がり
          だったそうな。事実今日も最後はみんなでスタンディング・オベーション。 舞台と客席が一つになって
          盛り上がっている感じだった。もしアダムがこれで最後と皆がその時にわかっていたらもっと凄い騒ぎに
          なっただろうな。
          もうアダムは最高! 白鳥は帝王のように堂々としながらも優しさにあふれていて、ストレンジャーは
          この上ないワルを超セクシーに演じている。首藤さんとジーザスもそれぞれ評判は良かったけれど、
          ストレンジャーでの迫力に関してはアダムに勝る者はいないはず。 特に首藤さんは他のダンサーが
          すべて白人なだけに、気の毒だけれどかなり難しい部分があったのではないでしょうか? 
          ストーリーとしては男同士が結ばれるわけでかなり奇抜だけれど、白鳥という鳥は、本来かなり気性が
          荒く縄張り意識の強い闘争的な鳥なのだそうで、マシュー・ボーンは白鳥を男性に躍らせる事によって
          それを表現したかったらしい。実際、男性のコール・ドは迫力満点で見事だった。 半裸に白い腰蓑の
          ようなロングチュチュは最初は違和感があったけれども、見慣れていくとこれ以外にふさわしい衣装が
          あるだろうかと逆に納得させられてしまった。 
          ストーリーも良くできているし、出演者それぞれが素晴らしいのだけれど、ともかくアダム、アダムで
          終わってしまいました(笑)。 また彼の白鳥が観られるならば絶対に行きたい。 

                                                                               Go Top






        MAY.10 2003    「眠れる森の美女」    東京バレエ団    東京文化会館

                           オーロラ姫    : ポリーナ・セミオノワ
                       デジレ王子    : ウラジミール・マラーホフ


           マラーホフがロシアから奪ったお姫様というふれ込みのポリーナ・セミオノワの日本初披露公演だった。
          まだ19歳になったかならないくらいの愛らしいオーロラ姫。 彼女はともかく頭が小さい。
          幕が開き、まず最初に感じた事は舞台が非常に寂しいという事。寂しいというのは舞台装置がお粗末で
          舞台上の人数も少ないために、舞台に空間がたくさん出来てしまっていたから。同じ日本のバレエ団でも
          舞台装置が立派だった
Kカンパニーは、やはりコール・ドは少なかったけれど、見栄えは非常に素晴らし
          かった。
S席がK カンパニーは18,000円で東バは12,000円という差が、こういうところに出ちゃうの
          かしら? それも悲しいなぁ。
          通常この演目は全三幕が多いけれど、東バ版「眠り」は、2幕と3幕を一緒にしているため、オーロラ姫に
          デジレ王子が結婚を申し込むところがなく結婚式が始まるのが、なにか唐突な感じがする。幕が変わっても
          舞台の上が寂しいのは変わらない。ムムム・・・
          印象的だったのはカラボスの衣装がクラッシックチュチュだったこと。大抵は長いドレスを纏った老婆という
          設定なので、リラの精と同じくらいの若さのカラボス自体珍しく思った。でもリラの精とカラボスが姉妹という
          事なら衣装は別としてもこれで不思議はないのよね。そのリラの精とカラボスは、今回初キャスティングの
          若手だそうで、優しげなリラの精(誰だったけ?)も、はつらつとしつつ目つきで悪を表していたカラボス
          (大島さん)も好演だったのではないでしょうか? ただベテランの井脇幸恵や吉岡美佳を見てみたかった
          気もする。だってまたこの東バの眠りを観に行きたくなるかはちょっと疑問・・・
          マラーホフは東バ版眠りでは登場シーンが少ないので、彼の素晴らしさを堪能しようと思ったら物足りない
          かもしれませんね。
          ポリーナちゃんは、オーロラ姫2日目というわりには落ち着いていて、ローズアダージョも緊張していたものの
          見事にやってのけた。 彼女、ちょっとヴィシニョーワに似ているなぁ。素顔はまだあどけないけれど舞台化粧
          がとても映えて美しい女性に変身するタイプ。日本ではこの先きっと人気が出るだろうな。また是非観て
          みたいバレリーナです。

                                                                               Go Top

  
 

 

        MAY.23 2003    「白鳥の湖」    新国立劇場バレエ団    新国立劇場オペラ劇場

                           オデット/オディール   : 酒井はな
                       ジークフリート       : 山本隆之


           酒井はなちゃんを一度観てみたくてこの公演日を選んだ。彼女はかなり演技派なのね。 オデットに関しては
          私は不幸な境遇なのよ、と過剰に訴えているように思わないでもなかったけれど、オディールは妖艶で溌剌と
          していて良かったと思う。黒鳥のフェッテも軸がぶれずにきれいに回っていた。山本さんは、あれが個性なんだ
          ろうけど、可もなく不可もなくという優等生的な印象。二人のパートナーシップは良かったです。
          一番目を惹かれたのは道化役のバリノフ君。跳躍力が素晴らしく演技も上手かった。考えて見れば道化のいる
          白鳥を見たのは今回が初めてだったんだ。物切れになりそうな箇所をうまく繋いでいるので、道化がいた方が、
          物語が一層わかり易くなるんじゃないのかな? 以前マールイにいたトレウバエフは、今は新国所属のダンサー
          なのですね。 移籍にあたってどんな経緯があったのかちょっと気になります。彼は脚捌きが綺麗なのだけど、
          ちょっと地味め。お顔立ちも東洋系なので、新国のダンサーの中に自然に溶け込んでいます。新境地で頑張って
          くれますように!
          新国のコール・ドは、噂どおりかなり質が高くよく揃っていたと思います。
          一緒に行った友達は、
レドフスカヤとマトビエンコ組も観に行ってとても良かったと言ってました。なんとなく、
          マトヴィと
レドフスカヤという組み合わせがしっくりこなかったんだけど彼女は素晴らしいバレリーナなのですね。

                                                                                Go Top  






        JUN.11 2003    「白鳥の湖」    K-Ballet カンパニー    オーチャードホール

                           オデット     : ヴィヴィアナ・デュランテ
                       オディール   : グレタ・ホジキンソン
                       ジークフリート : 熊川哲也
 

           日本のバレエ団でS 席18,000円というのはリーズナブルとは言いがたいので、観に行くかどうかかなり
          迷った公演なのだけれど、白鳥初演であり舞台芸術にかなり凝ったという事だったので結局行く事にした。
          でも、出遅れたからエコノミーな席は完売だった。
          確かに凝りまくった舞台装置だったけれど、芸術作品としては一貫性がないような感じ。
          デュランテがオデットでグレタ・ホジキンソンがオディールというふうに、この二役を別のダンサーが踊る
          いうバージョンは初めてで興味深かったけれど、やはり、一人のパレリーナが二役を踊り別けてこそ、
          この演目の醍醐味ではないだろうか?
          そのデュランテは精彩に欠けていた。踊りに切れもなく集中力が欠けていてオデットになりきっていないような、
          それでいてマイムで必死に私は不幸なのよと訴えているので、オデットの本来の哀愁は漂ってこなかった。 
          ホジキンソンは小柄で溌剌とした踊りを披露してくれた。回転系を得意とするテクニックが安定しているタイプの
          バレリーナなのでしょうか?  
          熊川版は、悲劇バージョンのエンディング。 どんな風にラストに持っていくのかなと思っていたら、オデットが
          湖に身を投げるシーンもあまりに唐突であれれ・・・という間にデュランテがいなくなり、デジレ王子も慌てて
          追いかけて飛び込んでしまったような感じで、あまりの乱暴さに悲壮感がなかったしドラマティックでもなかった。
          大ラスは、死後に結ばれた世界で二人が幸せそうに戯れている姿が
AMPの白鳥の湖ばりに映されるの
          だけれど、いくら人間の姿に戻ったとはいえオデットはチュチュのままでいてほしかったなぁ・・・という事で
          かなり消化不良の公演だったかもしれません!


                                                                                 Go Top




        JUL.17 2003    「ジセル」    レニングラード国立バレエ    文京シビックホール

                          ジゼル     : レティシア・ピュジョル
                      アルブレヒト  : ローラン・イレール
                      ミルタ      : デルフィーヌ・ムッサン
                      ヒラリオン   : カール・パケット
                      パ・ド・ドゥ   : オクサーナ・シェスタコワ、アンドレイ・マスロボエフ


           当初ジゼル役はザハロワだったので、彼女の不参加が決定した時にチケットを払い戻しするか迷った
          けれども オペラ座エトワールのイレールの全幕が見られる良い機会だと思い直し、予定通りに鑑賞する
          事にした。考えてみればオペラ座のダンサーの事など1年前まで何も知らなかったのだから、自分の中の
          バレエの世界が確実に広がっていると感じる。
          3月のバヤデルカの時に気に入ったカール・パケットが、来日直前に怪我をしたドラノエの代わりにヒラリオン
          を踊ったのは、私にとってはラッキー。 これって20日のヌレエフ・フェスティバルもそうなるという事よね!!
          プジョルは、恋する女の子がはにかむ様子など上手に演じていたと思う。イレールは誰がどう見ても貴族様
          って感じで・・・でもパケットも農家の若者には全く見えなかったので、あんまりヒラリオンが上品な感じがする
          のも本来はミスキャストなんじゃないのかな? どちらかといえば、アルブレヒトをやらした方がしっくりくる
          ダンサーだと思う。それにヒラリオンがあまりカッコいいと、たとえアルブレヒトに裏切られてもヒラリオンが
          いるじゃない!というような気になってしまって(私だけ?)・・・・

 
           1幕で特に印象に残ったのはぺザントのシェスタコワ。白いブラウスに紅いエプロンドレスみたいな衣装で
          髪型も可愛らしいアレンジで一瞬誰かわからなかったけれど、とっても可愛い! プジョルよりもスタイルが
          良くて踊りも柔らかく主役を食ってしまうような出来だった。パートナーのマスロボエフは初めてソロを見た
          ような気がするけれどテクニック的にまだ発展途上のような。回転の後の着地がかなりぶれていたし、
          バランスもとれていなかった。 シャドルーヒンが怪我でなくて来日していれば彼が踊ったのだろうか?

          2月のルジマトフとハートのジゼルでは2幕始めの部分がカットされていたのできちんと見るのは4年ぶり。
          ムッサンのミルタは立ち振る舞いは毅然と女王然としているけれども、流石に踊りはとてもエレガント。 
          2月の舞台では手前にあったジゼルのお墓が下手奥にあったけれど、これはパリオペ式なのかしら?お墓も
          重要なセットなのでやはり手前にあった方がいいのでは?? ここにアルブレヒトが跪き最後に別れをつげて
          去っていくのだから。
          イレールのアルブレヒトは、ジゼルを死なせてしまった事に関してルジマトフほど慙愧の念に駆られても
          いなければ物凄い後悔で打ちひしがれているようにも見えなかった。ただただ真面目で哀しい感じ。プジョルも
          ハートのような母性を感じさせるようなウィリーでも、儚げなウィリーでもなかったけれど、役になりきろうと
          している一生懸命さを感じました。

          あと2幕では、マールイのコールドが本領発揮。白いロマンティックチュチュに身を包んだダンサー達が一糸も
          乱れずに踊りつづける様は本当に幻想的で美しい! 今、日本での年間公演回数が一番多いバレエ団は
          日本のどこかのバレエ団ではなく、間違いなくこのマールイだと思うそのせいか、マールイ公演には必ず足を
          運ぶという常連が年々増えてきていると思います。急成長中のマールイは温かく見守っているという感じかな。
          今日の舞台でもダンサーと観客が一体となっていて終始アトホームな雰囲気が漂っていたと思う。

 
                                                                                Go Top




        JUL.20 2003    「ヌレエフ・フェスティバル」    文京シビックホール

           先日のジゼルも余韻も消えないうちに今日は待ちに待った「ヌレエフ・フェスティバル」の初日。マールイからは
          ペレンとクチュルク、ミハリョフの3人だけの参加で、他の来日メンバーは今日もクラシックハイライト公演を、
          どこかで公演中。 こんな日くらい休みにして、メンバー達もこのガラを見られれば勉強になっただろうに、
          なんか気の毒。


           海賊  : デルフィーヌ・ムッサン、イルギス・ガリムーリン
          
           ムッサンのメドーラの衣装がハーレムパンツだったのでビックリ。あれがオペラ座の衣装? 踊りはたおやかで
           優雅だったのに、ちょっと残念。

           ファンダンゴ : モニク・ルディエール、カール・パケット

           モニクはジゼルの客席で発見。ちょっとお化粧がきつかったけど細身の綺麗な人だった。パケットより一回り
           以上年上だけれども、舞台上では、全く違和感のないカップルでとても挑発的なダンスだった。パケットの方が
           お姉さまに頑張ってついていっているという感じ。オペラ座はこうやって男女の別なく、ベテランのダンサーが
           パートナーの若手ダンサーを育てるのね!

           ドン・キホーテよりGPDD : オクサーナ・クチュルク、ロマン・ミハリョフ 

           ドンキは彼らの18番のレパートリーだけれど、ヌレエフ版は初挑戦との事。蒼々たるメンバーの中で、いつも
           以上に気合が入っている気がしました。

           シンデレラよりPDD : デルフィーヌ・ムッサン、カール・パケット

           パケットは急な参加で衣装が借り物なのかダブダブしているような。やたらむずかしそうなリフトの連続で
           かなり大変そうだった。 ムッサンは優雅。

           ロミオとジュリエットより寝室のPDD : モニク・ルデイエール、ローラン・イレール

           実年齢を全く感じさせない若々しい二人のロミオとジュリエット。二人とも軽やかで、これでもかという超難しい
           リフトの数々をなんなくこなしていた。眼福の一言です。

           オレオール : シャルル・ジュド、ステファニー・ルブロ 
 
           理解するのが難しい演目。バレエというよりコスチュームのせいもあって器械体操のような感じ。「牧神の午後」
           以外の演目でジュドを見られたのは良かったけれど。ジュドが一人だけ飛びぬけて美しいという感想しかありま
           せん。お年を感じさせない筋肉質な体も凄いですね。

           アポロ : ローラン・イレール、イリーナ・ペレン、オクサーナ・クチュルク、アンナ・フォーキナ

           ヴィシニョーワの代わりに急遽テレプシコーラ役となったペレンが、どれほどのパフォーマンスを見せてくれる
           のかがとても楽しみでもあり非常に気になっていたけれど、期待をはるかに上回る出来で2002・2003シーズン
           よりもさらに成長の後が見られた。オペラ座のエトワールと踊るのは、多分初めての経験で、イレールから表現
           など細かいところまでいろいろな事を指導されたのでしょうね。 こういう機会に恵まれるのが若手のダンサーに
           とってはとても大切な事ですね。出だしの足を高く上げて前へ進み出てくるシーン、ペレンの長く細い足が非常に
           美しかった。イレールとのデュエットでの微笑みも、別人かと思うほど良かったよ(笑)
           クチュルクもドン・キの時とは違って抑えた感じで良かった。ちょっとフォーキナがレベル的に辛そうだったかな?
           イレールはまさしく永遠の若さを持つアポロンそのもので、気高く美しかった。

           ムーア人のパヴァーヌ:ファルフ・ルジマトフ、シャルル・ジュド、エマニュエル・クリゾ、ヴィヴィアナ・フランシオジ

           この演目は前知識が皆無だったので何がなんだか良くわかってない状態で観てしまったけれど「オテロ」なのね。
           ダンスというよりもほとんどお芝居のようだけれど、4人とも熱演で素晴らしかったです。私は、こういうルジマトフ
           が一番好きだなぁ・・。でも、ただでさえ
暑い舞台の上で、あの重たい衣装で踊るのはかなり大変ですよね
。         

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        AUG.01 2003    世界バレエフェスティバル Aプロ    東京文化会館

            すっごく楽しみにして行ったバレエフェスですが、思ったほど「ウワァ〜〜!!」っていうのがなかったです。
           コジョカルはほんとに華奢で可愛い。タマラ・ローホはフェッテが始まるまでは、なんでこの人がバレエフェス?
           なんて失礼な事を思ってしまいましたが、トリプルのフェッテは初めて見ました。
           ギエムとニコラの「優しい嘘」は素晴らしかったのに、なんであんなに短いの? それでもって、ギエム・ニコラ組が
           トリなら良かったのに、その後のウルレザーガの「ドン・キ」ってなんなのさ!!
ロイヤルのプリンシパルらしいが
           あの重たい踊りはなんなんだ! 舞台を歩く時にまで音をさせて、当然ジャンプの着地では会場が揺れるかと
           思うくらいの大きな音! なんでこれがトリ??
           あとはオケ! 盛り上がっていくところで音をはずすのはやめてくれぇ〜〜 東京フィルとなっていたけれど
2軍
           でも来てるのかなぁ?

                                                                                  Go Top




        OCT.10 2003    「眠れる森の美女」    牧阿佐美バレエ団    ゆうぽうと簡易保険ホール

                            オーロラ姫    : 上野水香
                       デジレ王子   : ウラジミール・ネポロジーニ
                       リラの精     : 吉岡まなみ


            牧版(ウエストモーランド版)の「眠り」は初見。 通常のプロローグが1幕、1幕が2幕、2幕と3幕が通しで
           3幕というちょっとかわった演出
だった。3幕はかなりいろいろ省略してあるみたい。
           上野水香は170センチという長身で、手足が長くて頭は小さく、プロポーション的にはこの上なく恵まれていて舞台栄え
           がする。でも、それだけだったかなぁ。
オーロラは初役と聞くし、王子役のネポロージー二とも初めてペアを組んだので
           難しい面がかなりあったとは思うのだけれど、困った事にお姫様には見えないの・・
           
あのお化粧のせいなのかな? まだ振りをこなすのが精一杯で、おどおどしているような雰囲気が漂っていたのはとても
           残念。テクニック的にはアラベスクやアティチュードは
パキッと決まっているのだけれど、体全体の動き、特に手の動きが
           硬く感じた。ローズアダージョもふらつかないのはいいけれど、柔らかさが足りないので、ただバランスをとっている
だけの
           ように見えてしまった。
           一方、王子役のネポロージー二はボリショイ期待の若手で佇まいからして本物の王子様!長身で足が細く恐ろしく
           長い。登場までにかなり時間があるし、あまり踊らないのでとても残念!マネージュは彼の体格には舞台が狭すぎて、
           思い切り足を延ばす事ができなくてとても気の毒だった。終始いろんな意味で押さえ気味に演じなければならなかった
           ようなのが本当にもったいない。
       
    他のダンサーで良かったのはリラの精を踊った吉岡まなみさん。身長もかなりあってプロポーションもよく、何より手の動き
           などとっても優雅な雰囲気で美しかった。ただデジレ王子同様、踊るシーンが少なくて残念。
         
  ダイヤモンドとサファイヤの精、名前を忘れてしまったけれど、上手かったです。白い猫もとても踊りがきれいでした。
           でも、あんなに大きな被り物でつらそう・・・。
  
          狼役のダンサーには苦言を呈したい。いくらなんでももう少しシェープアップできるでしょ!
           
オケは今回も?という感じだった。 ずいぶん音をはずしまくっていてせっかくのチャイコが酷かったもの!

                                                                            Go Top








        OCT.31 2003    「マノン」    新国立劇場バレエ団    新国立劇場オペラ劇場

                            マノン      : アレッサンドラ・フェリ
                        デ・グ・リュー  : ロバート・テューズリー
                        レスコー     : ドミニク・ウォルシュ
                        愛人       : 湯川麻美子
                        ムッシュGM   : ゲンナーディ・イリイン
                        看守       : イルギス・ガリムーリン


           マノンは夏のバレエ・フェスでヴィシ二ヨーワとマラーホフによる寝室のパ・ド・ドゥを見たことがあるだけで全幕は
           初見。
フェリのマノンとテューズリーのデ・グリューを観たくて心待ちにしていた公演。

           幕が開くなりステージの真中に、一人ニヤッと不敵な笑みを
浮かべているレスコーがマントに包まりながら座って
           いたのでビックリ。 娼婦や物乞いなどという今まで観たクラシックバレエでは
お目にかからなかった登場人物や
           その人たちの衣装に少し違和感を覚えながらも、この演目がマクミランであり、演劇的要素が強いバレエ
だという
           事を再認識させられた。
           
フェリが登場するとその場の雰囲気が一変する。これが主役の持つオーラというものなのですね。彼女は
今年
           40歳というのが信じられないほど若々しく可愛らしい。 純粋無垢な少女ながら、自分でも無意識の妖しい魅力を
           醸し出せるなんて凄い!

            テューズリー@デ・グリューの登場後は、二人がいつ視線を合わせるのかとそればかり気になってしまった。その
           テューズリーは
何の苦労も知らないボンボン神学生という感じ。1幕1場を観た後での寝室のパ・ド・ドゥは、
           断片的な夏のフェスとは違って、出会って恋に落ちたばかりの
幸せ一杯の二人の感情をこちらも素直に受け止める
           事ができるパ・ド・ドゥでとても良かった。 ただデ・グリューのソロはとてもむずかしいのか、テューズリーの調子が
           悪いのか、
ふらついていて安定感が無く、3日連続の舞台という事で疲れもあったのか、踊りが重たく感じられた。

           
2幕のムッシュGM主催のパーティーでは、
男たちが好色の対象であるフェリを次々とリフトしていくのだけれど、
           眠りや白鳥でバレリーナが恭しく掲げ上げられるのとは違って、
マノンのポーズはかなり艶かしいものだった。
           
ドミニク・ウォルシュは小柄ながら演技力十分の実力派で存在感は抜群。レスコーは当たり役なのでは
ないかしら?
            妹のマノンをムッシュG・Mの情婦にするために、いろいろ取り繕ったり如何様カードゲームで
さらにお金を巻き
           上げようとしたりの
悪行三昧だけれど、実はマノンの事を思いやる兄という優しさも伝わってくるような芝居のうまさ。
           結局は彼の一連の企みを知ったムッシュGMの
凶弾に命を落とすのだけれど、その死を痛ましいと思うほど情が
           湧いてしまったわ。

           3幕の女受刑者役の新国のダンサーたちはそろって恐ろしいほどに細い。大丈夫かなぁ(って何が?)看守役の
           イルギス・ガリムーリン、十分にイヤらしかった。
       
    最後の沼地のパ・ド・ドゥでのフェリは、すでに疲れ果て生きる気力もなくしている感じ。死を間近にしてのデ・グリュー
           への愛情表現は思っていたほど
名残惜しさや愛おしさを感じさせるものではなかったな。デ・グリューのテューズリー
           にしても同様で、それほどの悲壮感はなかったような・・・
           
他の2キャストはどう演じたのだろうか? やはり同じ演目を違うキャストで見るのはいろいろな面で楽しめるの
           だろうと思う。
そう思うにつけ、今回イレールが降板してしまったのは
つくづく残念だった。来年にでもすぐに再演を
           希望!!

                                                                                    Go Top




        NOV.24 2003    「くるみ割り人形」    ノボシビルスクバレエ団    オーチャードホール

            ボリショイ、キーロフに並ぶロシア3大バレエ劇場とプロモーションされていたノボシビルスクバレエ団。
 
          これはバレエ団のqualityなのか、劇場の物理的な大きさの事なのか? 百聞は一見にしかず!
           どうやら前者ではないみたいでした。黄金のマスク賞を獲得した「コッペリア」だったらもっと違った感じだったのかも
           しれませんが。

           ここのくるみは、少女マリーと、主役であるお菓子の国の女王は別のバレリーナが演じるので、主役のアンナ・ジャロワの
           踊りを観られたのは、2幕の最後の王子との
GPDDの15分間だけでした。というわけで、舞台上に
いる時間は、圧倒的に
           マリーの方が長いので少女マリーはかなり注目度が高いです。
なんだけど、今日のマリー役のダンサーは少女を演じる
           のには外見的にちょっと辛いものがあったなぁ・・・・踊りの方も
雪の王国でのマリーとくるみ割り人形のパ・ド・ドゥでは
           リフトでの失敗があったりでイマイチでしたでした。
           コールドは手を上げる高さや
姿勢がバラバラでまとまりには欠けていたけれど、螺旋系に形を動かしていく
           フォーメーションがとても珍しくて
綺麗でした

           アンナ
・ジャロワは比較的小柄なダンサーで、パァーっとするような華やかさは無かったけれど。ポーズをきちんと決めた
           安定感のある大らかな踊り
が良かった。

           王子役のプリンシパルダンサーもいろいろな受賞暦のある人らしいけれどあまり印象に残ってないです。なんといっても
           出番が短すぎるもの。

           
           舞台装置や衣装は、あまりセンスの良いものではなかったですが、
オケはノボシビルスクから同行している劇場
           オケで
音をはずす事もなく良かったし、何より真っ先に拍手を
し出してサクラ役も請け負うというなかなかアトホーム
           感じのする公演でした。


                                                                                    Go Top





        DEC08 2003    「白鳥の湖」    キーロフバレエ    東京文化会館

                       オデット/オディール  : ウリヤーナ・ロパートキナ
                    ジークフリート      : ダニーラ・コルスンツェフ
                    ロットバルト       : ウラジミール・シショフ
                    トロワ           : イリーナ・ゴールプ、ナデージダ・ゴンチャル、
                                     ワシーリー・シチェルパコーフ


            度重なるキャスト変更でキーロフや招聘元に対してかなりの不満が炸裂した日本公演となってしまった。
                         キーロフを見るのは96年以来7年ぶり。
           正直言ってチケットを購入した4月には怪我からの復帰に予想以上に時間の掛かっているロパートキナを
                         見られるとは思っていなかったので
当日のキャスト表に彼女の名前を見つけた時はそれだけで感動物だった。

           
           幕が開く。キーロフの舞台は豪華絢爛。それぞれのダンサーの衣装がとても美しい。金、銀、赤、黒の
色使いが
           華美
だけれど決して下品には見えない


           王子のダニーラ・コルスンツェフは長身で上半身逞しく足が長く非常にノーブルな佇まい。本当はゼレが
                        見たかったけれど
最初からロパートキナのパートナーとしてキャスティングされたプリンシパルダンサーだけあり
           踊りも端正でサポートも安定している。復帰後初舞台のロパートキナにしてみれば安定したサポートほど安心な物
           はないでしょうね
           トロワで登場したイリーナ・ゴールブは今日のお目当ての一人。小柄ながら均整の取れたスタイル踊り溌剌と
           していて、
彼女の音のとり方がとても気に入りました。ダンマガではワガノワ98年卒と
なっていたけれど、
           公演プログラム
には96年ワガノワ卒となっていたので、多分こちらが
正しいのでしょうね。

           1幕2場でロパートキナが登場した時は会場は息を殺したように静まりかえり、観衆の視線がロパートキナ一人に
           注がれてい
るのが感じられた。彼女は手足が長く体のラインがとても綺麗なバレリーナ。コールドを従えて踊る
           様は文字通り女
王そのものといった感じ。
           白鳥の湖のオデットと王子のグラン・パ・ド・ドゥはバレエの中で一番美しいグラン・パ・ド・ドゥと言われている
           けれども
チャイコフスキーの美しい音楽との相乗効果で言葉には言い尽くせない切なくも甘美な世界を作り
           出し
ていた。
          
 アダージョが始まってすぐに足を滑らせてバランスを崩した時はヒヤッとしたけれど何事も無くてほっとした
 
           1場ではコールドの人が滑り、ロットバルトは見事に転倒したので床が滑りやすかったのではないかしら
           
バリエーションの部分はよくあんなにゆっくり踊れると思うほどスローテンポになっていたけれど、彼女の時は
           いつでもこのように音楽緩急をつけるのでしょうか?
           オディールも素晴らしく、クールな大人の女の魅力で王子を誘惑しているような感じだった。それほど大げさな
           演技ではないけれど目の動かし方が印象的で強かなオディールの心の内をうまく表現していたと思う。

            3幕の王子がロットバルトと戦うシーンは、ウーンちょっと物足りない! 王子が大して戦っていないのに
        ロットバルトが勝手に羽をもぎ取られて死んでしまってハッピーエンドという感じだった。ジークフリートが命がけで
          オデットを守ったという感じが全く無くてちょっと盛り上がりに欠けたけれど、復帰後初舞台の
彼女が、全幕を無事
          踊り終える事ができて本当に良かったです。
          キーロフの白鳥はハッピーエンドですが、ロパートキナに限っていえば、悲劇バージョンの方が合っているのでは
          ないかと感じました。           
 

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        DEC.25 2003    「くるみ割り人形」    レニングラード国立バレエ    アミュー立川大ホール
     
                              マーシャ        : アナスタシア・ロマチェンコワ
                         王子          : アントン・チュマノフ
                         くるみ割り人形    : ラシッド・マミン
                         ドロッセルマイヤー : マクシム・ポドショーノフ
                         ネズミの王様     : アレクセイ・マラーホフ


            クチュルクがフォーラムラストだったので、ハビちゃんかエフセーエワがマーシャだろうと思ってたご近所
            立川公演だったけれど、なんとロマチェンコワがキャスティングされた。

           幕が開く。聞いてはいたが、あまりに狭いステージになんとなく不安を覚える。ここで花のワルツ踊るの?
           今年度のくるみ最終公演にしてはちょっとダンサーに気の毒な舞台なので、思わず、無理しないで怪我の
           無い用にね! なんて保護者モード入ってしまった。
   

           観ているうちに、ちょうど5年前に観たこの演目を思い出してきた。たまたま観に行った5年前とは、
なんたる
           マールイに対する熱の入れ方の違いようか・・・彼らが来日するたびにそれぞれのダンサー
の成長ぶりを確認
           できたり、新しい人の出現を目にするのはとても楽しい。

           今日の目玉は、失礼ながら主役ではなくねずみの王様のクリギンの濃い演技を堪能する事だったのだけれど
           
トリプル
キャストのため今日はアレクセイ・マラーホフだった。彼はハンサムなので、ねずみの被り物で顔が
           見えな
かったのが残念。
           マーシャのロマチェンコワはきちんと見るのは初めてだけれど優雅な
腕の動かし方で、踊りも丁寧で上手だった。
           ただ呼吸をする時の口の動かし方が激しいので若干興ざめ
なところもあった。あと1幕は子供の設定だから
           もうちょっと化粧を押さえた方が良かったと思う。
           くるみ
割り人形はラシッド・マミンで、マールイのくるみの第一人者。腕や足など体のあらゆるパーツのちょっと
           した動きまでに神経が行き届いた動作は見事で、まさに人形だった。スペインを踊ったタチアナ・ミリツェワも
           人気のあるダンサーでとても可愛いくて踊りも上手。是非彼女のマーシャも見て見たい。
           花のワルツのソリストはペレン、ステパノワ、コシェレワ、といった
豪華な面々。マールイの日本公演は主役級が
           こういった端役で出演してくれるのが嬉しい!
           うっとりした花のワルツの後のパ・ド・シスでは、シヴァコフ、プハチョフ、シャドルーヒンというなんとジークフリート
           王子3人がサポートにまわるという超贅沢さ! 気の毒だったのは王子役の小柄な
アントン・チュマノフ。すでに
           王子役が板についている大柄な3人に囲まれて全く目立たない。テクニック的
にもまだ安定感を欠いているので、
           主役を張るのは大変みたい。
           パ・ド・シスのマーシャのリフトは一度ならまだしも、何度も
何度もあのわけの分からないエビゾリを見せるのは
           何とかならないものか!! もうちょっと優雅なポーズをとって
くれないかなぁ・・・ あの音楽が台無しだもの。

           あとは衣装とセットがもう少し洗練されて豪華になれば、もっと上質な舞台に仕上がると思うので近い将来
           そのへんが変わることを期待したい。

           最後の舞台挨拶の時には、ペレンとステパノワがなにやらこそこそ話をしていたり、ステパノワとシヴァコフが
           笑いながら話していたり、ペレンがステージ中央のロマチェンコワを笑顔で見つめていたりと、マールイ98
年組
           ならではのアトホームな感じにこちらまで暖かい気持ちになった。 これぞマールイ!

                                                                                 Go Top






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